熱力学(5-5)
「熱力学ポテンシャル」の「定圧熱力学的ポテンシャル」を続けます。
ポテンシャル \(\Phi\) を用いてクラペイロン式を導くことを考えます。
液体とその飽和蒸気から成り、これがシリンダーに入っていて一定の温度・圧力が保たれているものとします。
液体部分のエネルギー : \(U_{1}\) 、蒸気部分のエネルギー : \(U_{2}\)
液体部分のエントロピー : \(S_{1}\) 、蒸気部分のエントロピー : \(S_{2}\)
液体部分の体積 : \(S_{1}\) 、蒸気部分の体積 : \(S_{2}\)
全系に対するエネルギー、エントロピー、体積 を \(U,S,V\) とすると



から
-T(S_{1}+S_{2})+p(V_{1}+V_{2})\\ &=(U_{1}-TS_{1}+pV_{1})+(U_{2}-TS_{2}+pV_{2})\\ &=\Phi _{1}+\Phi _{2} \end{align*})
で、\(\Phi _{1},\Phi _{2}\) はそれぞれ液体部分および蒸気部分のポテンシャルです。
液体部分の質量 : \(m_{1}\) 、蒸気部分の質量 : \(m_{2}\)
液体の比エネルギー : \(u_{1}\) 、蒸気の比エネルギー : \(u_{2}\)
液体の比エントロピー : \(s_{1}\) 、蒸気の比エントロピー : \(s_{2}\)
液体の比容 : \(v_{1}\) 、蒸気の比容 : \(v_{2}\)
液体の比(熱力学的)ポテンシャル : \(\varphi_{1}\) 、蒸気の比(熱力学的)ポテンシャル : \(\varphi_{2}\)
から

ここで、\(u_{1},u_{2},s_{1},s_{2},v_{1},v_{2},\) および圧力 \(p\) が温度のみの関数。\(\varphi _{1},\varphi _{2}\) は \(T\) のみの関数で
+ m_{2}\varphi _{2}(T))
と書くことができる。
系が平衡にあるところから出発し、圧力を一定に保ちながら、ある等温過程を行うとします。
変換できるのは \(m_{1}\) と \(m_{2}\) のみ。
この過程の結果 \(m_{1}\) が \(dm_{1}\) だけ増すとします。 \(m_{1}+m_{2}=m=\) 一定 なので、 \(m_{2}\) は \(dm_{1}\) だけ減少します。過程後の熱力学ポテンシャルは
\varphi _{1}+(m_{2}-dm_{1})\varphi _{2}\\ &=m_{1}\varphi _{1}+m_{2}\varphi _{2}+dm_{1}(\varphi _{1}-\varphi _{2})\\ &=\Phi +dm_{1}(\varphi _{1}-\varphi _{2}) \end{align*})
という形になります。
系は最初平衡の状態にあったので、\(\Phi\) は最小であったはず。よって \(\varphi _{1}=\varphi _{2}\) 。あるいは
-T(s_{2}-s_{1})+p(v_{2}-v_{1})= 0)
で、\(T\) で微分すれば
-T\frac{d}{dT}(s_{2}-s_{1}) -(s_{2}-s_{1})\\ & +\frac{dp}{dT}(v_{2}-v_{1})+p\frac{d}{dT}(v_{2}-v_{1})= 0 \end{align*})
ところで、\(Tds=du+pdv\) から

なので、上式は
+\frac{dp}{dT}(v_{2}-v_{1})=0)

となります。ところが、\(s_{2}-s_{1}\) は1グラムの液体が一定温度で蒸発するときのエントロピーの変化量であり、\(\lambda /T\) に等しいです(\(\lambda \) は物質の気化熱)。
こうしてクラペイロン式
})
が得られました。
ポテンシャル \(\Phi\) を用いてクラペイロン式を導くことを考えます。
液体とその飽和蒸気から成り、これがシリンダーに入っていて一定の温度・圧力が保たれているものとします。
液体部分のエネルギー : \(U_{1}\) 、蒸気部分のエネルギー : \(U_{2}\)
液体部分のエントロピー : \(S_{1}\) 、蒸気部分のエントロピー : \(S_{2}\)
液体部分の体積 : \(S_{1}\) 、蒸気部分の体積 : \(S_{2}\)
全系に対するエネルギー、エントロピー、体積 を \(U,S,V\) とすると
から
で、\(\Phi _{1},\Phi _{2}\) はそれぞれ液体部分および蒸気部分のポテンシャルです。
液体部分の質量 : \(m_{1}\) 、蒸気部分の質量 : \(m_{2}\)
液体の比エネルギー : \(u_{1}\) 、蒸気の比エネルギー : \(u_{2}\)
液体の比エントロピー : \(s_{1}\) 、蒸気の比エントロピー : \(s_{2}\)
液体の比容 : \(v_{1}\) 、蒸気の比容 : \(v_{2}\)
液体の比(熱力学的)ポテンシャル : \(\varphi_{1}\) 、蒸気の比(熱力学的)ポテンシャル : \(\varphi_{2}\)
から
ここで、\(u_{1},u_{2},s_{1},s_{2},v_{1},v_{2},\) および圧力 \(p\) が温度のみの関数。\(\varphi _{1},\varphi _{2}\) は \(T\) のみの関数で
と書くことができる。
系が平衡にあるところから出発し、圧力を一定に保ちながら、ある等温過程を行うとします。
変換できるのは \(m_{1}\) と \(m_{2}\) のみ。
この過程の結果 \(m_{1}\) が \(dm_{1}\) だけ増すとします。 \(m_{1}+m_{2}=m=\) 一定 なので、 \(m_{2}\) は \(dm_{1}\) だけ減少します。過程後の熱力学ポテンシャルは
という形になります。
系は最初平衡の状態にあったので、\(\Phi\) は最小であったはず。よって \(\varphi _{1}=\varphi _{2}\) 。あるいは
で、\(T\) で微分すれば
ところで、\(Tds=du+pdv\) から
なので、上式は
となります。ところが、\(s_{2}-s_{1}\) は1グラムの液体が一定温度で蒸発するときのエントロピーの変化量であり、\(\lambda /T\) に等しいです(\(\lambda \) は物質の気化熱)。
こうしてクラペイロン式
が得られました。
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