BHとポテンシャル_続・相対論の正しい間違え方を読むために(2)
今回は「続・相対論の正しい間違え方」の P72で扱っている式 (7.9) について考えてみます。((7.8)の導出はまた後で、、)
[該当の式 (7.9) ]--------------------------------
\frac{mh^{2}}{r^{3}})
---------------------------------------------
ラグランジアン \(L\) は
c^{2}\dot{t}^{2}-\frac{1}{1-r_{g}/r}\dot{r}^{2}-r^{2}\dot{\theta }^{2}-r^{2}\sin ^{2}\theta \dot{\phi }^{2} \end{align*})
であり、 \(t\) と \(\phi \) を露わに含まず、\(\frac{\partial L}{\partial t}= \frac{\partial L}{\partial \phi }= 0\) のため、オイラーラグランジェ方程式から
c^{2}\dot{t}\; \to\; \frac{\partial }{\partial \tau }\left ( \frac{\partial L}{\partial \dot{t}} \right )= 0)
となり、この2つの量はともに運動の定数となる。いっぽう、\(\theta\) についての変分から
-\frac{\partial L}{\partial \theta }= \frac{\partial }{\partial \tau }(-2r^{2}\dot{\theta })-(-2r^{2}\sin \theta \cos \theta \dot{\phi }^{2})= 0)
-r^{2}\sin \theta \cos \theta \dot{\phi }^{2}= 0)
ここで、\(\tau=0\) で、\(\theta =\pi /2,\dot{\theta }= 0\) とすれば、常に \(\theta(r)=\pi/2\) という平面上を運動することが分かる。つまり、 \(\theta=\pi/2\) とおいても運動の一般性を失わないということなので、\(\theta=\pi/2\) とおくと
c\dot{t}= \varepsilon \; \; \; (=\textup{const.}))
)
(座標時での微分から \(h= r^{2}(d\phi /dt)\) としたため、固有時での微分で表した \(r^{2}(d\phi /d\tau)\) を \({h}'\) とした。)
次は \(r\) に関するオイラーラグランジェ方程式を解くことになるが、それより \(\theta(r)=\pi/2\) とした計量から
c^{2}dt^{2}-\frac{1}{1-r_{g}/r}\: dr^{2}-r^{2} d\phi ^{2})
c^{2}\dot{t}^{2}-\frac{1}{1-r_{g}/r}\: \dot{r}^{2}-r^{2} \dot{\phi } ^{2})
両辺に \(1-r_{g}/r\) を掛けて
 c^{2}&= \left ( 1-\frac{r_{g}}{r} \right )^{2}c^{2}\dot{t}^{2}- \dot{r}^{2}-\left ( 1-\frac{r_{g}}{r} \right )r^{2} \dot{\phi } ^{2}\\ &=\varepsilon ^{2}- \dot{r}^{2}-\left ( 1-\frac{r_{g}}{r} \right )\frac{{h}'^{2}}{r^{2}}\\ &=\varepsilon ^{2}- \dot{r}^{2}-\frac{{h}'^{2}}{r^{2}}+r_{g}\frac{{h}'^{2}}{r^{3}} \end{align*})
整理すると

ここで、\(r_{g}=2GM/c^{2}\) から

なので、上式は

で、\(m/2\) を両辺に掛けると

となり、
左辺第1項 : 並進運動エネルギー
左辺第2項 : 回転運動エネルギー
左辺第3項 : ニュートン力学との補正
左辺第4項 : ポテンシャルエネルギー
右辺 : (静止エネルギーを含まない)系の総エネルギー
(ここで、運動エネルギーに対しては \(\mu=mM/(m+M)\) を使わなけばいけないが、\(m \ll M\) から \(\mu \approx m \) とした。)
書き直して
\({h}'\) : 単位質量あたりの角運動量
\((\varepsilon ^{2}-c^{2})/2\) : 単位質量あたりのエネルギー
\(-r_{g}{h}'^{2}/r^{3}\) : ニュートンポテンシャルに対する補正
ということになります。
さて、もう一度式を見直すと
)
で、全体を \(\tau\) で微分すると
\\ &=\left \{ -\frac{GM}{r^{2}}+\left ( \frac{{h}'^{2}}{r^{3}}-\frac{3r_{g}{h}'^{2}}{2r^{4}}\right )\right \}\dot{r}\\ &=\left \{ -\frac{GM}{r^{2}}+\left (1 -\frac{3r_{g}}{2r}\right ) \frac{{h}'^{2}}{r^{3}}\right \}\dot{r} \end{align*})
よって
 \frac{{h}'^{2}}{r^{3}})
であり、試験質量 \(m\) をかけると
と、該当の式 (7.9) が導出されました。
さて、\({h}' \approx h\) として試験質量 \(m\) をかける前の式に注目すると

なので、有効ポテンシャルは
dr\\ &=-\left ( \frac{GM}{r} -\frac{h^{2}}{2r^{2}}+\frac{r_{g}h^{2}}{2r^{3}}\right )\\ &=-\frac{GM}{r} +\frac{h^{2}}{2r^{2}}-\frac{r_{g}h^{2}}{2r^{3}}\\ &=-\frac{r_{g}c^{2}}{2r} +\frac{h^{2}}{2r^{2}}-\frac{r_{g}h^{2}}{2r^{3}} \end{align*})
と、73ページの (7.10) 式が出てきました。
[該当の式 (7.9) ]--------------------------------
---------------------------------------------
ラグランジアン \(L\) は
であり、 \(t\) と \(\phi \) を露わに含まず、\(\frac{\partial L}{\partial t}= \frac{\partial L}{\partial \phi }= 0\) のため、オイラーラグランジェ方程式から
となり、この2つの量はともに運動の定数となる。いっぽう、\(\theta\) についての変分から
ここで、\(\tau=0\) で、\(\theta =\pi /2,\dot{\theta }= 0\) とすれば、常に \(\theta(r)=\pi/2\) という平面上を運動することが分かる。つまり、 \(\theta=\pi/2\) とおいても運動の一般性を失わないということなので、\(\theta=\pi/2\) とおくと
(座標時での微分から \(h= r^{2}(d\phi /dt)\) としたため、固有時での微分で表した \(r^{2}(d\phi /d\tau)\) を \({h}'\) とした。)
次は \(r\) に関するオイラーラグランジェ方程式を解くことになるが、それより \(\theta(r)=\pi/2\) とした計量から
両辺に \(1-r_{g}/r\) を掛けて
整理すると
ここで、\(r_{g}=2GM/c^{2}\) から
なので、上式は
で、\(m/2\) を両辺に掛けると
となり、
左辺第1項 : 並進運動エネルギー
左辺第2項 : 回転運動エネルギー
左辺第3項 : ニュートン力学との補正
左辺第4項 : ポテンシャルエネルギー
右辺 : (静止エネルギーを含まない)系の総エネルギー
(ここで、運動エネルギーに対しては \(\mu=mM/(m+M)\) を使わなけばいけないが、\(m \ll M\) から \(\mu \approx m \) とした。)
書き直して
\({h}'\) : 単位質量あたりの角運動量
\((\varepsilon ^{2}-c^{2})/2\) : 単位質量あたりのエネルギー
\(-r_{g}{h}'^{2}/r^{3}\) : ニュートンポテンシャルに対する補正
ということになります。
さて、もう一度式を見直すと
で、全体を \(\tau\) で微分すると
よって
であり、試験質量 \(m\) をかけると
と、該当の式 (7.9) が導出されました。
さて、\({h}' \approx h\) として試験質量 \(m\) をかける前の式に注目すると
なので、有効ポテンシャルは
と、73ページの (7.10) 式が出てきました。
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