「こう見えても相対論」を読んでみた。

暗黒通信団の小冊子で嵐田源二さんの「こう見えても相対論」を読んでみました。

下に目次を示します。16ページですが内容は充実しています。
基本的に本ブログで「光なしの相対論」と言っている部類の議論が展開されていています。

「1.はじめに」からの一部引用-------------------
相対性原理のみを出発点として理論を展開し、光速度不変の原理は可能な限り持ち込まないで相対性理論を構築することを試みる。そのための手順は次の通りである。座標変換に対して式が不変となるような力学体系を想定する。このとき、時間を座標軸の1つとして扱う。その上で、想定した力学体系がニュートン力学を近似として含むためには、どのような条件が必要かを導くことにする。
-----------------------------------------

というようなストーリーで話が展開していきます。ただ一般座標変換がツールとして使われているので、初学者には敷居が高く、一般相対論まで齧っている人向けになります。よって、これで初めて相対論を学ぶというものではなく、こういう考え方もあるという感じでしょうかね。

ニュートン力学では質点の運動を空間座標 の時間的変化、つまり で、 はパラメータとして位置づけられています。相対論では時間軸も座標として4次元時空の軌跡と扱いますよね。ただ単位(次元)を合わせるため、速度の次元を持つ定数 を導入して とするところから始まります。(普通の教科書では光速 を使うところですが、はじめから「光速度不変」とかの前提を持ち込まないためです。) 
さて、質点の運動を表わすためには座標だけではだめで、やはりパラメータが必要です。具体的には4次元時空の軌跡の長さ を使って、 とするか、 として時間次元を持った固有時 を使って、 とする必要があります。

ここで、4元運動量をニュートン力学に習って としたいところですが、 は一般座標変換で不変な形ではありません。不変な形は

 

で、ちょっと余計な項が追加されます。これは変換に曲がった空間まで一般化しているためです。ではこの余分な項がなく という形が保たれるにはどういう条件なんでしょう。この本ではもう少し詳しく説明されているのですが、それはミンコフスキー計量 となるいわゆる慣性系同士の変換になります。そして、その変換の条件は一般座標変換理論から で、

 

が成立することです。ここで、

 

として、上の条件式を当てはめていくと、ローレンツ変換式が出てくる様子が書いてあります。
また、あとから と光速度不変となる説明も出てきます。

この内容は私なりに端折って説明したので、少し本の内容とは食い違うところがあるかもしれませんが、そこはご容赦のほど。。


さて、私的感想はちょっとエキサイテイングでした。私自身このブログを始めたころ「ローレンツ変換を導出してみる(1)」~「ローレンツ変換を導出してみる(5)」などという「光なしの相対論」を独自に考えておりましたので、こういう話題には多いに興味があります。ここで一般座標変換を持ってくるとは目から鱗です。まあ短いもので、価格もお安いので、相対論に興味のあるかたは読んで損はしないと思います。特殊相対論だけの知識では辛いので、ちょっと一般相対論の齧ったような人向けだと思いました。

[目次]-----------------------------------

1.はじめに
2.相対性原理
3.座標の決定
4.座標系と座標変換
5.ベクトルとベクトルの変換性
6.質点の運動を表すパラメータ
7.運動方程式
8.計量テンソルの具体的な形
9.座標変換式の導出
 9.1 回転変換
 9.2 ローレンツ変換
10. 光速度不変
11.一般座標変換で不変な運動方程式
12.ニュートン力学との対応
13.付録(4元運動量ベクトルの内積と質量について)



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック