対称性の自発的破れとヒッグス(Higgs)機構(1-2)
[例題1]の続きをやります。「瓶の底から、展開し直せば安定な系を記述できるはず」なので、それをやってみたいと思います。
O(2) 対称性のため真空期待値は Φ1、Φ2 どちらでも採ることができますが、ここではそれを第1成分にして、
= \begin{pmatrix} v+\sigma\left ( x \right ) \\ \xi \left ( x\right ) \end{pmatrix})
と書くことにします。元の複素場では、
= \frac{1}{\sqrt{2}}\left ( v+\sigma \left ( x \right )+i\xi \left ( x \right ) \right ))
となります。
こうすると、
なので、
= -\frac{\mu^{2} }{2}\left ( \left ( v+\sigma \right )^{2}+\xi ^{2} \right )+\frac{\lambda }{4}\left ( \left ( v+\sigma \right )^{2}+\xi ^{2} \right )^{2})
であり、
から、
= -\frac{\lambda v^{2} }{2}\left ( \left ( v+\sigma \right )^{2}+\xi ^{2} \right )+\frac{\lambda }{4}\left ( \left ( v+\sigma \right )^{2}+\xi ^{2} \right )^{2})
^{2}+\xi ^{2} \right )\left \{\frac{1}{2}\left ( \left ( v+\sigma \right )^{2}+\xi ^{2} \right )-v^{2} \right \})
\left \{\frac{1}{2}\left ( v^{2}+2v\sigma +\sigma ^{2}+\xi ^{2}\right )-v^{2} \right \})
\left \{\left ( v^{2}+2v\sigma +\sigma ^{2}+\xi ^{2}\right )-2v^{2} \right \})
^{2}-v^{4} \right \})
)

 \frac{\sigma ^{2}\left ( x \right ) }{2}+\lambda v\sigma ^{3}\left ( x \right )+\frac{\lambda }{4}\sigma^{4}\left ( x \right )+\lambda v\sigma \left ( x\right )\xi^{2}\left ( x \right )+\frac{\lambda }{2}\sigma^{2}\left ( x \right )\xi^{2}\left ( x \right ))
-\frac{\lambda }{4}v^{4} \equiv V\left ( \sigma ,\xi ^{2} \right ))
一方、
 & \partial _{\mu }\xi \left ( x\right )\end{pmatrix}\begin{pmatrix} \partial^{\mu }\sigma \left ( x \right ) \\ \partial^{\mu }\xi \left (x \right ) \end{pmatrix})
\partial ^{\mu }\sigma\left ( x\right )+\frac{1}{2}\partial _{\mu }\xi \left ( x\right )\partial ^{\mu }\xi \left ( x\right ))
から、Lagrangian は、
\partial ^{\mu }\sigma\left ( x\right )+\frac{1}{2}\partial _{\mu }\xi \left ( x\right )\partial ^{\mu }\xi \left ( x\right )-V\left ( \sigma ,\xi^{2} \right ))
となります。
これから、場
(Φ2 方向には展開し直していないので)の質量はゼロであり、これを、南部-ゴールドストーン粒子と呼ぶようです。一方、
の質量はタキオンでない正常な値
であることが分かります。
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は質量がゼロなので、それを無視すると、
 \mapsto \left ( 2\lambda v^{2} \right ) \frac{\sigma ^{2}\left ( x \right ) }{2}+\lambda v\sigma ^{3}\left ( x \right )+\frac{\lambda }{4}\sigma^{4}\left ( x \right ) -\frac{\lambda }{4}v^{4})
で、さらに
の3乗以上と v の項を無視すると、
 \frac{\sigma ^{2}\left ( x \right ) }{2})
が質量項と見なせるため、
が質量ということになるんだと思っています。
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場の展開をし直す前の Lagrangian が持っていた U(1)(~O(2))対称性は、展開し直すと、残っておらず、残っている対称性は
であり、これはZ2 対称性といいます。
このように、 U(1)(~O(2))対称性がより対称性の低い Z2 対称性に、南部-ゴールドストーン粒子を伴って変化する現象を、対称性の自発的破れといいます。
今日はこの辺で。。
O(2) 対称性のため真空期待値は Φ1、Φ2 どちらでも採ることができますが、ここではそれを第1成分にして、
と書くことにします。元の複素場では、
となります。
こうすると、
であり、
から、
一方、
から、Lagrangian は、
となります。
これから、場
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で、さらに
が質量項と見なせるため、
-----------------------
場の展開をし直す前の Lagrangian が持っていた U(1)(~O(2))対称性は、展開し直すと、残っておらず、残っている対称性は
このように、 U(1)(~O(2))対称性がより対称性の低い Z2 対称性に、南部-ゴールドストーン粒子を伴って変化する現象を、対称性の自発的破れといいます。
今日はこの辺で。。
この記事へのコメント
まあ http://teenaka.at.webry.info/200912/article_24.html の説明よりは分かり易いような気がしますが。。
対称性が自発的に破れる例として簡単な模型を取り上げているだけでは?
そんなことは言われなくてもわかっているんですよ。
もう少し本質的なことですが、どうも冷蔵庫さんとは話しても分かり合えないと感じています。
これレスしませんので、あしからず。
そうですか、失礼しました。「φにノンゼロのvevを持たせるために、質量項を負にしている」ということをT_NAKAさんが理解されていることは分かっていました。ですから、それ以上に何を疑問に思われているのか、わからなかったのでお聞きしただけです。
レスを頂けないだろうとは思いますが、一応お聞きします。「簡単な模型を取り上げているだけ」ということもご理解されている、ということでよろしいのでしょうか?T_NAKAさんのコメントからは、何かそれ以上に大きな理由があって質量項が負になる、と思われているような印象を受けるのですが。(思い違いだったらすみません)
>もう少し本質的なことですが、どうも冷蔵庫さんとは話しても分かり合えないと感じています。
>これレスしませんので、あしからず。
それは残念です。私としては、もう少しT_NAKAさんの仰ることを理解したいと思うのですが。