「黒揚羽の夏」を読んでみた。

探していた「黒揚羽の夏」(倉数茂・ポプラ文庫)が JR 拝島構内の書店で平積みになってました。
(Amazon で注文しようかとも思ってたげど、新刊なのでそれはちょっと悔しい気がするんです。)
とりあえず読んだので感想など書いておきます。

[内容]=================================================
離婚協議中の両親の都合で、祖父のいる東北の田舎に預けられた千秋、美和、颯太。
町に台風が訪れた日、美和は水たまりに映る不気味な女の姿を見る。それが不可解な事件の始まりだった。
押入れから出てきた六十年前の日記、相次ぐ少女の失踪、奇妙な映画のフィルム
…交錯する現在と過去に翻弄されながらも、千秋たちは真相に迫る。
圧倒的な世界観で全選考委員を魅了したピュアフル小説賞「大賞」受賞作。
妖しくも美しいひと夏のミステリー。
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一応ミステリーで、あまりストーリーを語ってしまうとネタバレになってしまうので、分かり難いと思いますが、そこはご容赦のほど。。

さて、ミステリーとは書きましたが、どうもそういう枠組みには収まらないようで、「解説」にも、

「ミステリ? 幻想小説? ファンタジー? ジュブナイル? ヤングアダルト? 文芸? エンタテイメント?
 どれにもあてはまるけど、どれからも見事にはみだしてしまう。」

とあるように、普通のジャンル分けでは説明できないものとなっています。解説の金原瑞人氏は中井英夫の「虚無への供物」に相当するような書き方です。
う~ん、それはどうかな?「虚無への供物」に相当するのは笠井潔の「哲学者の密室」のような作品で、この「黒揚羽の夏」はそこまでヘビィーではないでしょう。

私の感じたところは、ミステリの形を借りた「光車よ、まわれ!(天沢退二郎)」ような暗いジュブナイル・ファンタジーのような気もしますし、犯罪の深部には社会派的問題意識も見られます。さらに横溝正史的な田舎の因習みたいなものも書き込んでいて、確かに盛りだくさんな状態ですね。

だから、もう少しそぎ落としたほうがスッキリして良いのかも知れませんが、私は十分楽しめました。
次回作でどんな切り口になるか期待します。(作者は学者が本業のようなので、果たして次回があるのか?)

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