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zoom RSS Dirac「一般相対性理論」を読む_(8)

<<   作成日時 : 2006/01/24 12:57   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 2 / コメント 5

「6.平行移動」の節です。
点PにあるベクトルAμを点Qに平行移動することを考えます。
しかし、空間が曲がっているために、Aμはそのままじゃありません。
ここで、いきなり曲線座標で考えると、訳が分からなくなるので、前節で示したように平らな高次元空間に埋め込んで考えてみようというのがこの節の内容です。

具体的に言うと、曲がった空間での平行移動とは、「平らな高次元空間での平行移動の結果を該当の曲がった空間を表す曲線座標に引き直したもの」と考えることです。
ただし、ここで言う「平行移動」とは「曲がった空間での直線」に沿って移動することだと私は考えました。←考えすぎかも知れませんが。。

ここで、平らなN次元空間を直線座標をzn (n=1,2,3,・・,N)とします。(直交軸を含んだ一般的斜交軸を考えます。)線素片の長さの2乗は

ds2=hnmdzndzm     (6.1)

となります。hnmはznでの計量テンソルですが、直線座標なので、hnmは定数です。
つまり、

dzn=hnmdzm

とすることが出来ます。
くどいですが、

dz1=h11dz1+h12dz2+・・・+h1NdzN
dz2=h21dz1+h22dz2+・・・+h2NdzN
             ・・・・・
dzN=hN1dz1+hN2dz2+・・・+hNNdzN

ということですよ。(各係数hnmは定数であることを留意)

物理空間は4次元の「曲面」ですから、曲面内の各点xμ(これは曲がった空間の曲線座標で表していることに注意)はN次元空間内で決まった座標ynを持ちます。
(znからynという表示に変わっていますが、これは曲面内の各点をzn軸で計ったとき、ynになるということだと思います。)

さて、ynはxの4成分の関数なので、yn(x)と書くことにします。
いま、yn(x)をパラメータxμで微分します。(曲面のzn軸で計ったときの座標と、曲がった空間の曲線座標で計ったときの座標の関係を求める訳です。)
約束により、

∂yn(x)/∂xμ=y,nμ

と書きます。したがって、曲面上でδxμだけ離れている2点対して

δyn=y,nμδxμ     (6.2)

であり、その間の距離の2乗は

δs2=hnmδynδym=hnmy,nμy,mν δxμδxν

となります。
ここで、hnmは定数ですから、

yn,μ=∂yn(x)/∂xμ=∂(hnmym)/∂xμ=hnm(∂ym/∂xμ)=hnmy,mμ

となります。(微分するとき、定数は単純に前に出せることを思い出して下さい)
よって、距離の2乗は次のように書き直せます。

δs2=hnmy,nμy,mν δxμδxν=y,nμyn,νδxμδxν

ここは大事なので、再度書きますと、

δs2=y,nμyn,νδxμδxν

となります。これを

δs2=gμνδxμδxν

書く訳ですから、

gμν=y,nμyn,ν    (6.3)

ということになります。
これは面白い 結果ですね。平らなN次元空間で示される曲面の座標を、該当曲面の曲がった座標で微分したものの組み合わせで、曲がった空間 の計量が表わせるということです。

さらに、考えてみましょう。
物理空間で点xに反変ベクトル Aμ があるとします。式(6.2)を再度書くと、

δyn=y,nμδxμ

ですが、さきほどの反変ベクトルを成分毎にみると、Aμは式(6.2)のδxμに対応します。
一方、これをN次元空間で見ると、式(6.2)のδynに相当する反変ベクトル An となります。
すなわち、

An=y,nμAμ       (6.4)

となり、このベクトルAnは、該当曲面内にあります。ここまでで、数学的準備が終りです。

(この項つづく)

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ds2=hnmdzndzm     (6.1)
ちょっとこの部分がなぜ出てくるのかがはてなです。。。
しかも、
dzn=hnmdzm
の部分も、、、
なんで急に軽量テンソルgμνがhnmになるのでしょうか?
AAAA
2007/05/09 22:51
これは、いきなり曲線座標で考えないで、平らな高次元空間に埋め込んで考えてみようということで、この平らな高次元の座標と計量を分かり易いようにzとhで示しているということです。例えば球面の位置は(rが一定なので)θとφの2つのパラメータというか座標で示すことができますが、敢えて3次元空間の直線座標に埋め込んで、球面を例えば(x,y,z)で表わすということですね。(本来は球面なので2次元で良いのですから、座標間の関係は独立でないです。)
T_NAKA
2007/05/10 00:23
「dz_n=(h_nm)dz^m 」というのは、反変を共変に変えるときの一般的な式で、この場合,直線斜交軸なので(h_nm)は定数です。
この説明でも分かりにくければ、 
http://homepage2.nifty.com/ysc/Dirac6.pdf
を見て下さい。
T_NAKA
2007/05/10 00:35
図3の解説をお願いします

2009/05/18 22:09
「質問の回答になるかどうか??」という記事を書きました。
図3の詳細については説明していませんが、それが何を示しているのかという視点で書いてみました。
この記事の内容が理解されれば、この図の意味は自ずとお分かりになると思います。
T_NAKA
2009/05/20 08:44

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