「島根大_物質科学科物理系のレポート問題をやってみる」を再掲
「島根大_物質科学科物理系のレポート問題をやってみる」を再掲したいと思います。
ネットをググっていたら掲題の(望月准教授の研究室のページからいただいた)レポート問題に当りました。
物理的意味は別にして、これを解くには微分方程式の初歩の知識(変数分離)があれば十分なので、閑話休題というところで、やってみたいと思います。
物理学の世界 レポート問題
[問題1]
3つある \(\rho_{r},\rho_{m},\rho_{v}\) という定数の内、2つがゼロの場合を考えれば良い。
(1) \(\rho_{m},\rho_{v}=0\) の場合

\propto t^{1/2})
輻射優勢期 相対論的物質の密度が支配的
(2) \(\rho_{r},\rho_{v}=0\) の場合

\propto t^{2/3})
物質優勢期 非相対論的物質の密度が支配的
(3) \(\rho_{r},\rho_{m}=0\) の場合

\propto \exp (\rho _{v}^{1/2}t))
宇宙項優勢期 宇宙項が支配的
[問題2]
ここは少し丁寧にやっていきます。該当の方程式は \(\alpha \equiv \frac{\hbar c^{4}}{G^{2}}\) とおくと

と簡単になります。ここで、後のことを考えて \(\alpha\) を計算しておきましょう。
^{4}[\mathrm{m^{4}s^{-4}}]}{(6.7\times 10^{-11})^{2}[\mathrm{kg^{-2}m^{6}s^{-4}}]}\\ &=1.8 \times 10^{20}[\mathrm{kg^{3}s^{-1}}] \end{align*})
1.\(M(t)\) を求める

となるので、積分できて

ここで、\({C}'=3C\) ですが、\(t=0\) のときブラックホールの質量を \(M_{0}\) とすると、\({C}'= M_{0}^{3}\) となるため
= \left ( M_{0}^{3}-3\alpha t \right )^{1/3})
となります。(3乗根を解く場合はマイナスもありますが、質量なのでプラスをとるのが自然であり、時間発展によって減衰することに注意)
2. 太陽質量のブラックホールが蒸発するのにどの位の時間が必要か
= \left ( M_{sun}^{3}-3\alpha t \right )^{1/3})
の右辺がゼロになる時間を求めれば良いことでしょう。つまり、
^{3}[\mathrm{kg^{3}}]}{3\times 1.8\times 10^{20}[\mathrm{kg^{3}s^{-1}}]}\\ &= \frac{10}{3\times 1.8}\times 10^{69}[\mathrm{s}]= 1.9\times 10^{69}[\mathrm{s}] \end{align*})
ということになります。ところで、

から

wikipedia (宇宙の終焉)の記述では「太陽質量程度のブラックホールの蒸発時間は約 \(10^{67}\) 年」となっています。
この違いは「Hawking輻射に伴うブラックホールの質量の減少率 」を次元解析で求めているため、係数が無視されていることと、太陽質量を実際の半分程度としているからだと考えられます。
ネットをググっていたら掲題の(望月准教授の研究室のページからいただいた)レポート問題に当りました。
物理的意味は別にして、これを解くには微分方程式の初歩の知識(変数分離)があれば十分なので、閑話休題というところで、やってみたいと思います。
物理学の世界 レポート問題
[問題1]
3つある \(\rho_{r},\rho_{m},\rho_{v}\) という定数の内、2つがゼロの場合を考えれば良い。
(1) \(\rho_{m},\rho_{v}=0\) の場合
輻射優勢期 相対論的物質の密度が支配的
(2) \(\rho_{r},\rho_{v}=0\) の場合
物質優勢期 非相対論的物質の密度が支配的
(3) \(\rho_{r},\rho_{m}=0\) の場合
宇宙項優勢期 宇宙項が支配的
[問題2]
ここは少し丁寧にやっていきます。該当の方程式は \(\alpha \equiv \frac{\hbar c^{4}}{G^{2}}\) とおくと
と簡単になります。ここで、後のことを考えて \(\alpha\) を計算しておきましょう。
1.\(M(t)\) を求める
となるので、積分できて
ここで、\({C}'=3C\) ですが、\(t=0\) のときブラックホールの質量を \(M_{0}\) とすると、\({C}'= M_{0}^{3}\) となるため
となります。(3乗根を解く場合はマイナスもありますが、質量なのでプラスをとるのが自然であり、時間発展によって減衰することに注意)
2. 太陽質量のブラックホールが蒸発するのにどの位の時間が必要か
の右辺がゼロになる時間を求めれば良いことでしょう。つまり、
ということになります。ところで、
から
wikipedia (宇宙の終焉)の記述では「太陽質量程度のブラックホールの蒸発時間は約 \(10^{67}\) 年」となっています。
この違いは「Hawking輻射に伴うブラックホールの質量の減少率 」を次元解析で求めているため、係数が無視されていることと、太陽質量を実際の半分程度としているからだと考えられます。
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