熱力学(3-4)
熱力学的絶対温度を続けます。
低温 \(t_{1}\) と高温 \(t_{2}\) で働く第二の熱機関を考える。
\({L}'\) : この熱機関が1サイクルで行う仕事
\({Q}'_{2}\) : サイクルごとに温度 \(t_{2}\) で吸収する熱量
\({Q}'_{1}\) : サイクルごとに温度 \(t_{1}\) で放出する熱量
[基本定理]-----------------------
a. 第一の熱機関が可逆ならば

b. 第二の熱機関もまた可逆ならば

--------------------------------
この定理の意味するところを考えます。
「a. 第一の熱機関が可逆ならば」ということは、「第二の熱機関は可逆である」必要はないということで、「吸収する熱量/放出する熱量」という数値はその熱機関が可逆ならば一番大きいという意味で、「b. 第二の熱機関もまた可逆ならば」同じになるということでしょう。
以下に証明を考えます。
サイクルに対する第一法則から

以下に証明を考えます。
サイクルに対する第一法則から

また比 \(\frac{Q_{2}}{{Q}'_{2}}\) は、有理数によっていくらでも望む精度まで近似することが可能。
\(N,{N}'\) を正の整数として、

とすることができる。
第一の熱機関(可逆)を 逆向きに \(N\) サイクル行う
逆向き1サイクルの間に仕事 \(L\) を吸収し、熱源 \(t_{2}\) に熱量 \(Q_{2}\) を渡し、熱源 \(t_{1}\) から熱量 \(Q_{1}\) を吸収する
第二の熱機関を \({N}'\) サイクル行う
この複合過程の間に二つの熱機関が行う仕事の総量は

熱源 \(t_{2}\) から吸収する総熱量は

熱源 \(t_{1}\) から吸収する総熱量は

から
-N(Q_{2}-Q_{1})\\ &=({N}'{Q_{2}}'-NQ_{2})-({N}'{Q_{1}}'-NQ_{1})\\ &=Q_{2,\textup{total}}-Q_{1,\textup{total}} \end{align*})
ここで、

つまり、過程全体では高温 \(t_{2}\) において熱交換は起こらないということで、この関係から

となり、これは熱源 \(t_{1}\) から吸収した熱量 (\(-Q_{1}\)) が仕事 \(L_{\mathrm{total}}\) に変換されていることを示しています。過程全体は二つの熱機関の何サイクルかでできているので、過程が完了したときには、両方の熱機関は始めの状態に戻っています。→ \(L_{\mathrm{total}}\) は正ではありえないことになります。もし正ならば、全過程終了後の結果が、全体が温度 \(t_{1}\) にある一つの熱源から熱量 \( -Q_{1,\mathrm{total}}\) を吸収し、これを仕事 \(L_{\mathrm{total}}\) に変換したことになりケルヴィンの原理に反することになり、

でなければなりません。つまり、

であり、\({N}'=(Q_{2}/{Q_{2}}')N\) から
N{Q_{1}}'\geq NQ_{1}\;\to \; Q_{2}{Q_{1}}'\geq {Q_{2}}'Q_{1})
つまり、

とa のケースが証明されました。
b のケースは第二の熱機関が可逆ならば、上式と同時に

が成立するため、等号(=)が成立することになります。
低温 \(t_{1}\) と高温 \(t_{2}\) で働く第二の熱機関を考える。
\({L}'\) : この熱機関が1サイクルで行う仕事
\({Q}'_{2}\) : サイクルごとに温度 \(t_{2}\) で吸収する熱量
\({Q}'_{1}\) : サイクルごとに温度 \(t_{1}\) で放出する熱量
[基本定理]-----------------------
a. 第一の熱機関が可逆ならば
b. 第二の熱機関もまた可逆ならば
--------------------------------
この定理の意味するところを考えます。
「a. 第一の熱機関が可逆ならば」ということは、「第二の熱機関は可逆である」必要はないということで、「吸収する熱量/放出する熱量」という数値はその熱機関が可逆ならば一番大きいという意味で、「b. 第二の熱機関もまた可逆ならば」同じになるということでしょう。
以下に証明を考えます。
サイクルに対する第一法則から
以下に証明を考えます。
サイクルに対する第一法則から
また比 \(\frac{Q_{2}}{{Q}'_{2}}\) は、有理数によっていくらでも望む精度まで近似することが可能。
\(N,{N}'\) を正の整数として、
とすることができる。
第一の熱機関(可逆)を 逆向きに \(N\) サイクル行う
逆向き1サイクルの間に仕事 \(L\) を吸収し、熱源 \(t_{2}\) に熱量 \(Q_{2}\) を渡し、熱源 \(t_{1}\) から熱量 \(Q_{1}\) を吸収する
第二の熱機関を \({N}'\) サイクル行う
この複合過程の間に二つの熱機関が行う仕事の総量は
熱源 \(t_{2}\) から吸収する総熱量は
熱源 \(t_{1}\) から吸収する総熱量は
から
ここで、
つまり、過程全体では高温 \(t_{2}\) において熱交換は起こらないということで、この関係から
となり、これは熱源 \(t_{1}\) から吸収した熱量 (\(-Q_{1}\)) が仕事 \(L_{\mathrm{total}}\) に変換されていることを示しています。過程全体は二つの熱機関の何サイクルかでできているので、過程が完了したときには、両方の熱機関は始めの状態に戻っています。→ \(L_{\mathrm{total}}\) は正ではありえないことになります。もし正ならば、全過程終了後の結果が、全体が温度 \(t_{1}\) にある一つの熱源から熱量 \( -Q_{1,\mathrm{total}}\) を吸収し、これを仕事 \(L_{\mathrm{total}}\) に変換したことになりケルヴィンの原理に反することになり、
でなければなりません。つまり、
であり、\({N}'=(Q_{2}/{Q_{2}}')N\) から
つまり、
とa のケースが証明されました。
b のケースは第二の熱機関が可逆ならば、上式と同時に
が成立するため、等号(=)が成立することになります。
この記事へのコメント