東洋思想ノート_インドの弁証法_世親の唯識論的弁証法(2)

これは「東洋の合理思想」という本をテキストとして勉強したノートです。
インドの弁証法_世親の唯識論的弁証法で「三自性の弁証法」などに触れます。

・三自性の弁証法

自性 : 実体または本性
三自性 : 三種の本性観(分別性、依他性、真実性)

(a) 分別性(フンベツショウ) : 妄分別の基本形態。事物を孤立的実体的に見る判断。存在しないものを実体として判断すること。
(b) 依他性(エタショウ) : 妄分別は縁起するものであって、自立するものではなく、他に依存するものであると判断すること。
(c) 真実性(シンジツショウ) : 依他性の判断のとき、 妄分別から離れて実体観を否定し、相互依存の状態を肯定することができる。この否定と肯定との総合が真実性の判断。

「依他性」は独立したものではなく 、 分別されたもの(所分別)と分別するもの(能分別)との間の相互依存として存在。
 → 依他性の独立性を否定しなければならない。
 → この否定によって依他性から真実性へ移る

分別性(迷い) → 依他性 → 真実性(悟り) ;「迷い」から「悟り」の三段論の弁証法

分別性(正) → 依他性(正の否定としての反) → 真実性(合) → 分別性の否定即ち依他性の肯定

唯識の弁証法は、認識内容の弁証法ではなく、認識形式の弁証法
唯識の弁証法は、認識形式の変化の段階をたどる段階的弁証法
同じ認識内容(現実界)に対する見方を転換していく営み


・三無性の弁証法

三自性 : 分別性の肯定、依他性の肯定、真実性の肯定 → 三無性はこの三者を否定

(a) 相無性(ソウムショウ) : 分別の依他的な相を肯定して実体を否定すること(分別性に対する否定的判断)
(b) 生無性(ショウムショウ) : 依他性は分別するもの(能分別)と分別されるもの(所分別)との間の相互依存で成立。依他性そのものが分別性から独立した実体ではない。→ 自然生ではない。
(c) 勝義無性(ショウギムショウ) : 分別性と依他性との総合としての真実性は、分別性・依他性から独立した実体として認められるものではない。→第二段階の総合としてそれらに依存する限りでは真実性を認めるが、しかもその実体を否定する。

第一、分別性の否定は相無性であるが、それは同時に依他性の肯定である。
第二、依他性の否定は生無性であるが、それは同時に真実性の肯定である。
第三、真実性の否定は勝義無性であるが、それは同時に唯識性の肯定である。

弁証法の最終段階として唯識性に達し、悟りが完成する。


・唯識性の弁証法

勝義無性は真実性の否定的表現 → しかし、同時に「すべては識の相互作用」 → 唯識性
 識=了別=分別 
「唯識性=すべてが分別にすぎない」 → 「すべての分別は阿頼耶識からの転変によっておこる」・「阿頼耶識は分別作用が無意識化して蓄積されることによって生じる」
→「唯識性=阿頼耶識と識(分別)との相互作用の無限の継続」にすぎないという認識→実体概念は完全に消失→実体への固執がなくなる
→固執に基づく煩悩がなくなる→唯識の弁証法は解脱に至って完成

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