対称性の自発的破れとヒッグス(Higgs)機構(2)
[例題2]に行きますが、これは N 成分の実スカラー場の話で、[例題1]の N = 2 の場合の延長となります。
[例題2]================================
より一般化した対称性の自発的破れを議論する。N 成分の実スカラー場
\equiv \begin{pmatrix} \Phi _{1}\left ( x \right )\\ \Phi _{2}\left ( x \right )\\ \vdots \\ \Phi _{N}\left ( x \right ) \end{pmatrix})
を考える。(例題1は N = 2 の場合であった。)その Lagrangian は
の場合同様、
 \cdot \partial^{\mu }\boldsymbol{\Phi }\left ( x \right )+\frac{\mu ^{2}}{2}\boldsymbol{\Phi }^{T}\left ( x \right ) \cdot \boldsymbol{\Phi }\left ( x \right )-\frac{\lambda }{4}\left ( \boldsymbol{\Phi }^{T}\left ( x \right ) \cdot \boldsymbol{\Phi }\left ( x \right ) \right )^{2})
であり、当然
対称性、
を持っている。
したがって真空期待値
を持つポテンシャルの底は
対称である。
このとき、系は
へと自発的に破れることを示せ。
========================================
[例題1]と同様に真空期待値 v から場の量を測り直すことを考えます。O(N) の対称性のため Φ1,…,ΦN どの成分もこの値を持つことができますが、前問と同様に、それを第1成分にして、
= \begin{pmatrix} v+\sigma\left ( x \right ) \\ \boldsymbol{\xi }\left ( x\right ) \end{pmatrix} \; \; ,\; \; \boldsymbol{\xi }\left ( x\right )\equiv \begin{pmatrix} \xi _{1}\left ( x \right )\\ \xi _{2}\left ( x \right )\\ \vdots \\ \xi _{N-1}\left ( x \right ) \end{pmatrix})
と書くことにします。
なので
 = -\frac{\mu^{2} }{2}\left ( \sigma ^{2}+2v\sigma +v ^{2}+\boldsymbol{\xi } ^{T}\cdot \boldsymbol{\xi } \right )+\frac{\lambda }{4}\left ( \sigma ^{2}+2v\sigma +v ^{2}+\boldsymbol{\xi } ^{T}\cdot \boldsymbol{\xi } \right )^{2})
ですが、 [例題1]とほぼ同様な計算で、
 = \left ( 2\lambda v^{2} \right )\frac{\sigma ^{2}}{2}+\lambda v\sigma ^{3}+\frac{\lambda }{4}\sigma ^{4}+\frac{\lambda }{2}\sigma ^{2}\boldsymbol{\xi }^{T}\cdot \boldsymbol{\xi })
^{2}-\lambda \frac{v^{4}}{4}\equiv V\left ( \sigma , \boldsymbol{\xi }^{T}\cdot \boldsymbol{\xi } \right ))
となります。
Lagrangian
)
は
不変です。
の質量は
で
は質量のない(N-1 個の)南部-ゴールドストーン粒子です。
こうして、
対称 Lagrangian は自発的に
対称 Lagrangian に壊れました。
ここで、群
の次元はその生成子の数、すなわち
}{2})
です。(群
が N 次元空間の回転を表す群なので、異なる回転の種類は、N 個の軸から2個の軸を選ぶ場合の数ということです。)
同様に群
の次元は
\left ( N-2\right )}{2})
です。これら2つの群の次元の差は、
}{2} - \frac{\left ( N-1 \right )\left ( N-2\right )}{2}= \left ( N-1 \right )\frac{N-\left ( N-2 \right )}{2}= N-1)
であり、ちょうど南部-ゴールドストーン粒子の数に等しくなりますが、これが偶然でないことは次の例題で確認することになります。
[例題2]================================
より一般化した対称性の自発的破れを議論する。N 成分の実スカラー場
を考える。(例題1は N = 2 の場合であった。)その Lagrangian は
であり、当然
したがって真空期待値
このとき、系は
========================================
[例題1]と同様に真空期待値 v から場の量を測り直すことを考えます。O(N) の対称性のため Φ1,…,ΦN どの成分もこの値を持つことができますが、前問と同様に、それを第1成分にして、
と書くことにします。
ですが、 [例題1]とほぼ同様な計算で、
となります。
Lagrangian
は
こうして、
ここで、群
です。(群
同様に群
です。これら2つの群の次元の差は、
であり、ちょうど南部-ゴールドストーン粒子の数に等しくなりますが、これが偶然でないことは次の例題で確認することになります。
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