可換な作用素(1)

線形代数関連を少し進めます。
一般に、行列や作用素というのは非可換ですね。ここでは交換できるケースを考えることになります。

[定義]=========================
A,B を二つの作用素とするとき、A と B とが可換であるとは



という条件が成立することである。
===============================

[定理]=========================
A と B とが自己共役作用素で A と B との分解をそれぞれ




このとき、すべての 1≦i≦k , 1≦j≦l について



が成立する。
===============================

これを証明するためには、



を証明すれば十分と教科書には書いてありますね。



から、



なので、各λがゼロでないかぎり、PiP'j = P'jPi ということなんでしょう。


[証明]========================= 
多項式 p(x) を上手にとって、



で、



が成立するようにする(特定の i でλiのときだけ、1になり、その他の j ではゼロになるという多項式 p ということ)。
このとき明らかに AB = BA から



成立する。ところで、



となるので、



が証明された。
===============================

同じ理屈で

[定理]=========================
U,V が二つのユニタリー作用素で可換のとき、その分解の射影作用素はそれぞれ可換である。
===============================

さて、A と B とを可換な自己共役作用素とします。このとき



とすると、



と、



とはそれぞれ単位の分解になっています。ここでは



は再び単位の分解になっていることに注意です。
いま Pi・P'j の表す線形部分空間を Mij として Mij の完備正規直交系を



とすれば、{xijs}ijs の全体は Cn の完備正規直交系になっています。
こうすると、

① xijs は A のλiを固有値とする固有ベクトル
② xijs は B のμjを固有値とする固有ベクトル

ということが同時に成立するので、 xijs は A と B との両方の固有ベクトルとなっていることが分かります。
したがって、Cn のすべてのベクトルは A と B との両方の固有ベクトルとなっているような固有ベクトルの一次結合で表されることがわかります。

今日はこの辺で。。



 

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この記事へのコメント

匿名
2021年03月06日 10:49
突然のコメント失礼します。
1.AB=BA ⇒ P_i P'_j = P'_j P_i を示すにはAB=BA ⇒ P_i B = B P_iを示せば十分とありますが、十分かどうかわかりませんでした。

2.また、AB=BA ⇒ p(A)B = Bp(A) であることは明らかとありますが、ここもよく分かりませんでした。明らかではないと思いました。

もしよろしければ上記について詳しく教えていただけると幸いです。

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