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zoom RSS 「経済数学入門の入門」を読んだ

<<   作成日時 : 2018/05/14 00:01   >>

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岩波新書「田中 久稔 著 経済数学入門の入門」を読んだので感想などを簡単に書いておきましょう。
わずか164ページの薄い本なのですが、下に示す目次にあるように、一次関数から修士課程で出会う動的計画法に至るまでの数学を概観するものになっています。

経済数学の本なので、数式を使わない記述は無理なのですが、それはその都度「ボックス」と称した1ページにまとめて記述してあります。つまり本文では極力数式を排除して文章のリズムを変えない工夫が施されているように思いました。
さらに、この「ボックス」や図はほぼ奇数ページ(左側のページ)に描かれていて、大体偶数ぺージ(右側のページ)に記述されている内容とリンクしているため、文章を読んでからまためくり直して読まなければならないというストレスがありませんでした。そういう意味で良く考えられた編集になっています。

さて、内容に入っていきます。
「ボックス」の数学レベルは第5章までは高校数学をマスターしていれば十分理解できると思います。
第6章も偏微分を理解していれば「制約付きの最大化」「ラグランジュの未定乗数決定法」を除いて、高校数学から大きく離れるものではありません。
第7章、8章は動的計画法やポントリヤーギンの最適制御なんかが入ってきて、これはちょっと手ごわいものになっています。
この本に書かれている内容が経済数学のすべてというわけではなく、あくまで概観なので、この分野の数学が分かれば経済学が十分に分かるということはないのでしょうが、第6章までの内容は理系出身ならば、何となく分かるので、経済学への敷居を大分下げてくれた本でした。
そういう意味では、手元に置いてガイドブックとするにはとても良い本だと思いますし、第1章は簡単な経済数学史を軽妙なタッチで書かれて楽しんで読むことが出来ました。
新書なので安価ですので買っておいて損はない本だと思います。

私の興味の主な分野は物理学なので、今後経済学を本気で勉強することは無いと思いますが、ちょっとその気にさせる本でしたね。


[目次]----------------------------------------

はじめに

第1章 経済学と数学ーなぜ数学を学ぶのか 

1 実証科学としての経済学
   理論分析と実証分析
   なぜ数学を使うのか?
2 「数理経済学」の歴史
   クールノーの悲劇
   レオン・ワルサス登場
   サミュエルソン降臨

第2章 一次関数ー市場を数式で表現する

1 因果関係を関数で表わす
   言葉としての関数
   近似表現としての関数
2 需要関数と供給関数
   用語の確認
   数式による表現
3 需要曲線と供給曲線
   式とグラフと言葉で
   需要曲線を描いてみる
   価格はタテ軸に現れる
 
第3章 二次関数ー満腹と疲労

1 便益関数と費用関数
   「便益」って何?
   費用曲線
2 二次関数による定式化
   便益関数と費用関数の定式化
   便益曲線の作図法
 
第4章 関数の微分ー「この瞬間の、この感じ」

1 限界便益と限界費用
   どうして食べ残してしまうのか?
   どうして「限界」というのか?
2 数学的な定義 
   デルタ・イプシロン論法
   現代数学の始まり
3 需要関数と供給関数の導出
   最適な消費量を決定する
   需要曲線を描く 

第5章 関数の最大化ー山の頂で考える

1 局所と大域
   遥かなる「大坂 」
   一階の条件
   純便益と利潤
   需要関数・供給関数を導く
   クールノーによる独占の分析
2 極大化の二階の条件
   極大を見分ける
   テイラー展開
3 関数の凹性と最大化
   凹関数
   凹関数と二階の条件
   市場の均衡

第6章 多変数関数の最適化ーケーキとコーヒーの黄金比

1 効用関数
   ケーキとコーヒー、鰻と梅干し
   効用
   効用関数
   限界効用
2 効用関数の最大化
   多変数関数の最大化
   制約付きの最大化
   ラグランジュの未定乗数決定法
   効用関数の準凹性
3 一般均衡
   マーシャル型需要関数
   一般均衡の計算

第7章 マクロ経済学と差分方程式ー富める国、貧しい国

1 ソロ−の成長モデル
   タンザニアの悲劇
   生産の3要素
   成長のサイクル
   成長モデルの定式化
2 経済成長の安定性
   経済成長の帰結
   なぜ定常状態に向かうのか
   定常状態の安定性
3 最適成長理論
   貯蓄率はどう決まるのか
   オイラー方程式
 
第8章

1 自発的失業の理論
   経済における「期待」
   失業と期待
   自発的失業の理論
2 繰り返し代入法
   ベルマン方程式
   繰り返し代入法
   繰り返し計算の収束

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