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zoom RSS インフレーションと原始重力波の最初の直接的な証拠(2)

<<   作成日時 : 2014/03/23 00:01   >>

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掲題の件を続けます。とねさんの記事「昨夜の発表の感想: 宇宙誕生時の「重力波」観測 米チームが世界初」のコメント欄で「E-モード」「B-モード」は何の略だろう?という疑問が出てきました。まず、そこから調べてみました。
ググると、A CMB Polarization Primer Wayne Hu and Martin White, Princeton 1997の中のElectric and Magnetic Modesの最初の文が

Any polarization pattern on the sky can be separated into ``electric'' (E) and ``magnetic'' (B) components.

つまり、「空のどんな分極化パターンでも『電気』(E)要素と『磁気』(B)要素に分けることができる」という記述になっています。知識がないので深入りはしませんが、電磁気とのアナロジーではないかと考えます(違っているかも知れませんが)。
またDetection of B-mode Polarization in the Cosmic Microwave Background with Data from the South Pole Telescopeを見てみたいと思いますが、3シート目の図

画像


からも、Eモードの左側の図は点電荷から出る電気力線を思わせるし、Bモードの方も B = curl A という式を感じさせますね。

さて、話題を変えて堀田昌寛先生のブログQuantum Universeの「インフレーション宇宙でのホーキング輻射(Bモード観測との発表に絡んで)」に揺らぎの原因となるホーキング輻射が起こる理由が説明されていました。
私が理解しているホーキング輻射は事象の地平線が出来ることで熱浴が現れることで、ミンコフスキー空間内で一様加速する観測者の時空(リンドラー時空)でも事象の地平線が出来るので熱浴が現れ、これをアンルー効果ということは良く知られていることですね。
堀田先生の記事を私なりに理解すると、インフレーション宇宙を記述するドジッター時空は、宇宙が広がる速度が常に加速されているような状態で、この中にいる観測者にとってはリンドラー時空の中にいるように事象の地平線(宇宙的地平線というらしい)があるためホーキング輻射が発生するということなんでしょうかね。
とにかく、「この揺らぎがインフレーション後にも残って、量子的な揺らぎから古典的な揺らぎに転換し、宇宙の構造形成のタネになると考えられている」というストーリーのようです。

しかし、翌日の「原始重力波観測で「私たちはホーキング輻射を見ている」と確実に言えるのか。」では風向きが少し変わってきます。

[引用]---------------------------
まずふつうの熱平衡にある気体の振る舞いはそれを見る座標系によって変化するはずである。
実際、気体全体の重心運動に対して静止している系と、それに対して動いている系とでは差がある。
しかしドジッター空間の中の"ホーキング輻射"の場合、異なるスピードで自由運動をしている観測者もまったく同じ熱的状態を観測してしまうのだ。
これはドジッター時空がもつ高い対称性に原因がある。
時間1次元、空間3次元からなる4次元ドジッター空間は、5次元の平坦な時空に埋め込められ、そしてそこでの高次元のローレンツ対称性を持っているからだ。
(註:詳しく書くと、ds^2=-dT^2+dX^2+dY^2+dZ^2+dW^2という計量を持つ5次元ミンコフスキー時空に埋め込まれた、-T^2+X^2+Y^2+Z^2+W^2=(1/H)^2という曲面が4次元ドジッター時空である。従って明らかに5次元でのローレンツ変換に対して4次元ドジッター時空は不変。そしてドジッター時空での量子場の"真空状態"も5次元ローレンツ不変性をもつため、場の量子揺らぎは自由運動をする観測者のスピードに依存しなくなる。)
-------------------------------

この註に書いてあることはどこかでやったなぁ、、って思ったら、スナイダーの時空量子化(1)スナイダーの時空量子化(2)で計算してましたね。この註での H はハッブル定数で、ドジッター宇宙モデルでは本当の意味で「定数」なので、
 
となり、「あれ?ドジッター宇宙とアインシュタイン・ドジッター宇宙は違うモデルだっけ?」で示した式
 
と比較すると、
 
なので、スナイダーの時空量子化(2)の結論と註にある
 
と合致しますね。

ともあれ、この「場の量子揺らぎは自由運動をする観測者のスピードに依存しなくなる」というのがイケないようなのです。ブラックホールのホーキング輻射も一様加速する観測者のアンルー効果も、これらが生じない観測系があるのですが、「ドジッター宇宙ではそういう観測系がないということになるので、何か変、、」ということらしいですね。

[引用]---------------------------
実際のインフレーション宇宙は永久にドジッター時空で記述されるわけではなく、急膨張の始まりと終わりの時刻がある。
つまり5次元ローレンツ対称性は一部破れている。
だからどの自由運動している観測者でも同じに見えるという不自然なホーキング輻射の主張を信じなくてもいい。
このローレンツ対称性の破れこそが、"正しい解釈"を与える座標系を特定するわけだ。
その座標系では単に、指数的急膨張の始まりと終わりという物理的時間変化が重力波やインフラトンの量子揺らぎにエネルギーを与えて、それらを「実体化」する。
-------------------------------

ということで、宇宙背景輻射の揺らぎとホーキング輻射の関係には疑問があるということなんでしょうかね。
まあ、理解している訳ではないんですが、なかなか難しい問題があるようです。。


[追記]===========================================
本記事について、堀田先生の「原始重力波観測で「私たちはホーキング輻射を見ている」と確実に言えるのか。」の補足記事で触れていただました。
より詳細な解説をしていただいているので、ご覧になっていただけると幸いです。
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インフレーションと原始重力波の最初の直接的な証拠(1)
3/18のAM1:00ころに表題の発見のニュースが駆け巡りました。例えば、とねさんの昨夜の発表の感想: 宇宙誕生時の「重力波」観測 米チームが世界初などで取り上げられており、専門家では大栗先生のブログ原始の重力波 , 原始の重力波 その2や堀田先生のブログインフレーション宇宙でのホーキング輻射(Bモード観測との発表に絡んで) , 原始重力波観測で「私たちはホーキング輻射を見ている」と確実に言えるのか。で取り上げられていますね。 私がこれに付け加えられるものはないのですが、自分の理解のため... ...続きを見る
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2014/03/23 19:06

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