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zoom RSS 自由落下をもう少し考えてみた。。

<<   作成日時 : 2010/02/16 00:23   >>

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「シュバルツシルド時空での自由落下(シュバルツシルド半径から遠い場合)」という記事をかきましたが、もう少し丁寧につめていって、最後に近似を使うようにできないか?を考えてみました。
測地線方程式を計算するのではなく、測地線の停留性から方程式を変分法で求めてみた訳です。

ds2 = gαβdxαdxβ = -{1-(a/r)}c2dt2+{1-(a/r)}-1dr2+r2(dθ2+sin2θdφ2)

であり、作用は

I = ∫Ldτ = ∫gαβ(dxα/dτ)(dxβ/dτ)dτ 

なのだから、

L = -{1-(a/r)}c2t'2+{1-(a/r)}-1r'2+r2θ'2+r2sin2θφ'2

となります。( 「'」を付けたのはτでの微分という意味です。 )
これを、オイラーラグランジュの方程式

(d/dτ)(∂L /∂xμ')-(∂L /∂xμ) = 0

に代入して、運動方程式を求めるというストーリーになります。

L は、あらわに t とφ を含まないので、(時間で変化せず)

∂L /∂t' = -2{1-(a/r)}c2t' → 定数
∂L /∂φ' = 2r2sin2θφ' → 定数

ということになります。また、

∂L /∂θ' = 2r2θ' ; ∂L /∂θ = 2r2sinθcosθφ'2

から、

{d(2r2θ')/dτ}-2r2sinθcosθφ'2 = 0

なので、

{d(r2θ')/dτ}-r2φ'2sinθcosθ = 0

ということが言えます。
ここでこの式から、τ= 0 のとき θ=π/2 、θ'= 0 とすると、θ(τ) =π/2 という平面上を運動することが分かります。つまり、運動する面を θ=π/2 とおいても一般性を失わないということです。
そこで、

∂L /∂t' = -2{1-(a/r)}c2t' → 定数
∂L /∂φ' = 2r2sin2θφ' → 定数

という条件式で、 θ=π/2 とおいてしまい、定数をとりあえず次のように決めてしまいます。

{1-(a/r)}t' = ε( → 定数)
r2φ' = j( → 定数)

ここから、t' = ε{1-(a/r)}-1 ; φ' = jr-2 なので、

L = -{1-(a/r)}c2ε2{1-(a/r)}-2+{1-(a/r)}-1r'2+r2j2r-4  
= -{1-(a/r)}-1c2ε2+{1-(a/r)}-1r'2+j2r-2  
= -{1-(a/r)}-1(c2ε2-r'2)+j2r-2  

となります。一方 ds2 = gαβdxαdxβ = -c22 から、

L = -c2

が言えます。つまり、

-c2 = -{1-(a/r)}-1(c2ε2-r'2)+j2r-2

となり、変形すると、

c2-c2(a/r)+j2r-2-aj2r-3 = c2ε2-r'2

という式になります。
ここで、やっと準備完了ということになりました。

さて、問題は自由落下なので、質量の中心まで真っ直ぐに落ちていくため、dφ= 0 としてよいでしょう。

つまり角運動量j = 0 から、上の式は、

c2-c2(a/r) = c2ε2-r'2

と簡略化できて、

r'2 = c22-1+(a/r)} → r' = ±c{ε2-1+(a/r)}1/2 

となりますが、ここでは「落下」のためマイナスをとって

dr/dτ = -c{ε2-1+(a/r)}1/2 

というのが、運動方程式になります。
ただし、これは固有時で示されているため、座標時 t で表したいのです。そこで、{1-(a/r)}t' = ε から、

dt/dτ = ε{1-(a/r)}-1 → dτ/dt = ε-1{1-(a/r)}

なので、

dr/dt = (dr/dτ)(dτ/dt) = -cε-1{1-(a/r)}{ε2-1+(a/r)}1/2 

となりました。
さて、ニュートン力学・重力理論と比較するには d2r/dt2 という形にしなければなりません。 
これには、上式をもう一度 t で微分することになります。つまり、

d2r/dt2 = -cε-1[(a/r2){ε2-1+(a/r)}1/2+{1-(a/r)}(1/2){ε2-1+(a/r)}-1/2(-a/r2)](dr/dt) 
= -cε-1(a/r2)(dr/dt)[{ε2-1+(a/r)}1/2-{1-(a/r)}-1(1/2){ε2-1+(a/r)}] 
= -cε-1(a/r2)(dr/dt){ε2-1+(a/r)}-1/2[{ε2-1+(a/r)}-(1/2){1-(a/r)}] 
= -cε-1(a/r2)(dr/dt){ε2-1+(a/r)}-1/22-(3/2){1-(a/r)}] 
= -cε-1(a/r2)[-cε-1{1-(a/r)}{ε2-1+(a/r)}1/2]{ε2-1+(a/r)}-1/22-(3/2){1-(a/r)}]
= c2ε-2(a/r2){1-(a/r)}[ε2-(3/2){1-(a/r)}]
= c2(a/r2){1-(a/r)}[1-(3/2)ε-2{1-(a/r)}]

です。まとめると、

d2r/dt2 = c2(a/r2){1-(a/r)}[1-(3/2)ε-2{1-(a/r)}]

ただし、dr/dτ = -c{ε2-1+(a/r)}1/2
ということになります。


ここで、近似に持って行くと結果がでるのでしょうが、このままでは、εの扱いが分かりません。
この意味を与えましょう。いまは自由落下のケースなので、落ち始めの初期値があるはずです。
座標時 t = ti 、粒子の固有時で τ = τi のときに r = ri の位置で質点が静止していたとすれば、

dr/dτ|r = ri = 0

なので、ε2-1+(a/ri) = 0 から、

ε2 = 1-(a/ri)

ということになります。
ここで、落下運動をする領域が、a に比較して十分高い場合、

ε2 ≒ 1 ; {1-(a/r)} ≒ 1

と近似できます。よって、

d2r/dt2 ≒ c2(a/r2){1-(3/2)} = -(1/2)(c2a/r2)    

となり、 a = 2MG/c2 なので、

d2r/dt2 = -MG/r2

となります。これで、ニュートン理論と一致しました。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
お見事です!
僕がもし同じ計算にトライしたとしたらtでの2階微分のところでごちゃごちゃしてしまいギブアップしていたことでしょう。
一般相対性理論での自由落下は教科書に載っているのかなと思いましたが、実は取り上げられることがほとんどないのですね。
とね
2010/02/18 12:04
とねさん、コメントありがとうございます。

ここら辺の議論は、「時空の力学」と「一般相対性理論入門」(須藤靖著/日本評論社)が参考書で、過去にも考えていました。
http://teenaka.at.webry.info/200806/article_23.html
ただ、座標時の2階微分の形で方程式は教科書に書いてないし、それがニュートン理論の近似になるのも見たことがないので、自分でやってみたところでして、上手くいって良かったと安心しています。
T_NAKA
2010/02/18 18:47
「座標時の2階微分」の式になっているところを見て、僕も「あれっ?これでうまくいくのかな?」と思いながら読み進めていました。

> 上手くいって良かったと安心しています。
アインシュタインもきっと天国でにんまりしていることでしょう。(笑)

僕はまだ「教科書を読んで理解する。」というレベルにしかおりませんので、いつかT_NAKAさんのように「自分で解ける」レベルに達したいと思っています。
とね
2010/02/18 23:19
「Schwarzschild時空で中の粒子の運動_(3) 」
http://teenaka.at.webry.info/200806/article_25.html
という記事で、遠方座標で見て BH へ自由落下していく質点が事象の地平線まで到達する時間を図示してみたことがあります。常識的に「事象の地平線まで到達する時間は無限」ということですが、地平線近傍まで到達する時間は有限で、けっこう早い時間で到達できることが分かりました。つまり、地平線近傍になると急に落下速度が緩慢になり貼り付いたようになる(実際は時間が止まるので落下物から信号も停止して見えなくなる)ということが認識できたのです。これも計算してみて初めて分かったことで、ちょっと興奮しました。
T_NAKA
2010/02/19 07:56
article_25.htmlの記事も読ませていただきました。すごいですねぇ。。。感服です。求められた数式に値を入れてグラフ化して、初めて実感できるようになるわけですね。
実際こういう重力の環境に自分の身を置きたくはありませんが、グラフを見ているだけで非常にリアルです。(笑)
とね
2010/02/20 04:19
実はホーキング輻射を考えてみたくて、場の量子論を少しかじっているのです。アンルー効果も勉強したのですが、あまりはっきりとは分かってないので。。
T_NAKA
2010/02/20 23:50

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